学生であれば、年上である先輩には敬語を使い、同級生や年下にはタメ口を使うことでしょう。学校以外では年下を除いて基本的に敬語を使っていれば、言葉遣いで悩む事は少ないのではないでしょうか。
会社は新卒で採用されてからずっと同じ会社に所属し続けている生え抜きのプロパー社員ばかりではなく、年功序列の考え方が通用しないため、人や状況、関係性で言葉遣いに気をつけなければならないからです。
具体的には、会社に所属していると以下7つの分類の方々との接点があります。
①新卒(同期)
「大卒・院卒・高卒」と同じ年度に入社したプロパー社員は同期と呼ばれますが、この中でも当然全員年齢が同じわけではありません。年代・年齢が異なってきます。
②中途社員
中途入社となると、年齢はまちまちで、年下の場合もありますし、年上の場合もあります。また同い年かもしれません。またキャリアも違いますし、前職でのポジションも異なるでしょう。
③上司
「上司」だからと言って、あなたより年上とは限りません。年下かもしれません。また担当業務においても経験値があるとも限りません。
④部下
「上司」同様に「部下」だからと言って、あなたより年下であったり、担当業務において経験値が低いとも限りません。
⑤同僚
「同僚」イコール「同期」という関係はなく、同期であっても先述の通り、年齢にも差がありますし、同じ職場で働く同僚は経験や知識、キャリア、入社時期も違うでしょう。
⑥他部署
同じ会社でも異なる部門で働く他部署の人には、同期もいるかもしれません。新入社員の頃から知っている年下の社員もいるでしょう。
⑦社外
社外ともなると、関係性はさらに多岐にわたります。対会社との関係になりますので、株主、顧客、取引先のほか、金融機関、行政機関、各種団体など、企業のあらゆる利害関係者であるステークホルダー、そして地域住民などなど。
「敬語」と「タメ口」の使い分けの基準
では、あなたは会社でどのように「敬語」と「タメ口」を使い分けていますか?
- その基準は何ですか?
- 基準は一貫してますか?
- それとも状況に応じて柔軟に使い分けできますか?
「敬語」と「タメ口」の使い分けで悩んで、ストレスを感じている方へお教えします。
それはご自身の中で基準を決めることです!!
基準さえ決めてしまえば、敬語で話すべきか、タメ口で話すべきか、いちいち悩む事なく、ストレスを感じることも少なくなるはずです。
以下の4つの基準が、主なベースになると考えております。自分なりの基準にアレンジしてみるとよいかと思います。
①年齢基準
単純明快な基準です。年上なら「敬語」を使い、年下・同い年なら「タメ口」を使う基準です。ポイントになるのは年齢をどう確認するかになってくると思いますが、日本人であれば、年長者には「敬語」を用いるのが礼儀ですので、誰でも納得できます。
ただ「年下の上司」という職制上、上の立場へのタメ口は親密度や関係性を十分理解した上で使うべきでしょう。
また「顧客」といった取引関係上の立場の人に対して、あなたが年上だからといって「タメ口」を使うのは、社会人失格です。
社内においては目上の立場への配慮、社外の人へは敬語を徹底してさえいれば、一貫性がもてる絶対的な基準だと思います。
②役職基準
これも単純明快な基準です。自分より目上の立場である「役職者」に対しては敬語、同等レベルのポジションまたは、下の立場にある者に対してはタメ口を使う基準です。
ただし、自分の立場より下だからと言って、入社歴のある先輩や年長者に対して「タメ口」を使っていたらどうでしょうか。
周囲からは「役職が上になったからといってタメ口になった」と思われることでしょう。
また降格したときや、役職を追い越されたときのことを考えると、その有様は惨めと言わざるを得ません。
社外の人に関して言えば、自社でいうところの役職と、先方の役職は比較の対象にもなりませんから役職基準は通用しませんし、取引先に対してのタメ口は社会人として有り得ない行為ですので敬語を使いましょう。
社内においては入社歴のある先輩と年長者への配慮、社外の人へは敬語を徹底してさえいれば、一貫性がもてる基準だと思います。
③入社歴基準
もうお気づきだと思いますが、この基準も社内でしか通用しないのがわかりますよね。
まずは社内ですが、これは問題なさそうです。
先に会社に所属している人には「敬語」後から入社した人には「タメ口」を使うという基準で成り立ちます。
これは新卒だろうと、中途だろうと同じ扱いで入社が浅ければ年齢関係なしにその会社の中では「後輩」としても、概ね問題なさそうです。後から入ってきた社員からしても受け入れなければならない「先輩・後輩」の関係が成り立ちます。
入社の浅い年齢の上の人へタメ口を通すのであれば、個人的には3歳違うと中学や高校時代の「3学年」に入らないので、2歳上までが限度ではないでしょうか。
社外においては通用しない基準ですが、入社歴のある社員にとっては比較的安心してワークライフをストレスなく過ごせる基準だと思います。
④親密度・関係性基準
何をもって親密度が計れるのか、また関係性が築かれるのか、客観的にはかることができませんが、要するに「お互い言葉遣いが気にならない関係性」であれば「敬語」を使おうが「タメ口」であろうが、問題ないでしょう。
ただし、明確な基準をもって敬語とタメ口の使い分けをするという点に振り返りますと、今からできるという即効性に欠ける基準と言わざるを得ません。
またこの基準はおそらく皆さん誰もがすでにおもちの基準であって、社会生活において人によって使い分けることでストレスを感じていた方が多いことだと思います。
とは言え、1対1の場以外においては周囲への配慮は必要だと思いますが、社内だろうと社外だろうと、対個人の関係性が基準ですので、問題になりそうなシチュエーションは少ないでしょう。
究極の基準
いかがでしたでしょうか?敬語で話すべきか、タメ口でいくべきか、参考になりましたでしょうか?またあなたなりの基準が見えてきたのであれば、幸いです。
自分なりの基準が見つかったのであれば、後は自信をもってその基準を貫きましょう。
そして、ここまでお読み頂いた方ならたどり着いたと思いますが、一番簡単で、楽な基準があります。
全ての人に敬語を使う事です。
周囲の全ての人に敬意を持つ事です。この基準をもつことで、人や状況で使い分ける必要はなくなり、ストレスは軽減されることでしょう。
と思われる方もいるかと思います。
誰に対しても敬語を使うことで、きっとあなたの品格が上がり、信頼も高まり、評価も上がり、敬語を誰に対しても使い続ける事で、様々な状況で直面する精神が、あなたの人間力を高めていくはずだと、私は思います。