取引先から難しい要求や答えにくい質問を受けたとき、相手を否定する「できない」を伝えなければならないことがあります。
そのような場合は、他の言葉に言い換えるなど、敬語や言葉遣いだけでなく、表現にも工夫を凝らすことで、相手の同意や許可を得やすくなります。
ここでは取引先へ「できない」を伝える敬語フレーズ15選をご紹介します。
①わかりかねます
わからない、回答できないときに丁寧に伝えるフレーズです。
- その件につきましては、こちらではわかりかねます。
- わたくしでは、わかりかねます。
②いたしかねます/できかねます
対応できない場合に使うフレーズです。
- いたしかねます。
- 夜間の発送は、できかねます。
③ご容赦ください
許してほしいときに使うフレーズです。
- どうかご容赦ください。
- 何とぞ、ご容赦ください。
④ご遠慮ください
「ご遠慮」は言動を控えることを言います。
- こちらでの飲食はご遠慮ください。
- カメラでの撮影はご遠慮ください。
⑤齟齬(そご)をきたす
相手と話がかみ合わないとき、食い違いの現状を確認する切り口として使うフレーズです。
- 見解に齟齬をきたしているようです。
⑥白紙に戻す/白紙に返す
提案や交渉、検討事項、進行中の案件などで交渉相手が一歩も引かず、一方的に譲歩を迫ってきたときに効果を発揮するフレーズです。話をなかったことにします。
- この件、いったん白紙に戻します。
- この話はいった白紙に返しましょう。
⑦見送る
取引先から持ちかけられた話をいったん社内へ持ち帰り、検討した結果、断るときのフレーズです。ビジネスでは定番の表現です。
- 今回は見送らせていただきます。
- 今回は出席を見送らせていただきます。
⑧無にする
「無にする」は無駄にするという意味です。相手の好意で誘ってくれたにも関わらず、断らざるをえない場合に使う表現です。
- お心を無にするようなお返事となりまして、大変恐縮しております。
- せっかくのご好意を無にするようで大変心苦しく思っております。
⑨お汲み取り
「お汲み取り」とは、心中や事情を察し、理解することで、相手の要求、依頼に対して「お及み取りください」は「どうか、こちらの事情を理解してください。それ以上聞かないでください」というニュアンスを伝えます。
- どうぞお汲み取りください。
- 内情をおくみとりくださいませ。
- 何とぞ、お汲み取りください。
⑩安請け合い
「安請け合い」とは「軽々しく引き受ける」ことです。人から何かを依頼されたときに、「それができるという自信がない」という遠回しな言い方で、失礼なく丁寧に事態するときに使える表現です。
- 安請け合いをしては、かえってご迷惑をおかけすることにもなりかねませんので。
⑪途方に暮れる/頭を抱える
「途方に暮れる」とは、解決策が見つからず困っていることをあらわす言い回しです。とるべき道が見えないことが伝わります。
- どうしたものかと途方に暮れております。
- 難題を前に頭を抱えております。
⑫私の一存では
取引先から難しい要求や答えにくい質問に対して、何と答えてよいか、わからないときに使える定番フレーズです。一旦回答を保留することになるので、社内へ持ち帰り、上司と相談して上で回答します。「私の一存ではお答えいたしかねます」は「自分ひとりだけの考えでは回答できない」、「責任は持てない」というニュアンスを伝えることができます。
- 私の一存ではお答えしかねます。
⑬大変困難な状況です。
「できないこと」を「大変困難」「応えかねる」という表現に置き換えて、「NO」を伝えるフレーズです。
- 先日の案件、ご要望にお応えすることは大変困難な状況です。
- 大変恐縮ですが、ご要望にはお応えいたしかねます。
⑭あまりにも急なお話で
上司からの急な指示や、取引先からの唐突な注文、知人からの急なお誘いなどで、すぐに対応できないことを驚きの感情とともに伝える際のフレーズです。
- あまりにも急なお話で・・・。
- あまりにも急なお話で、どういたしましょうか。
⑮承服いたしかねます。
「承服」とは、承知して従うことです。相手の言うことに対して「そのようなことは到底納得できない」と、丁重に拒む言い回しです。
- 当日のキャンセルは承服いたしかねます。
- そのような条件は承服いたしかねます。